桜並木を眺める職人
お陰さまで4月も商品の製作と発送に勤しむ毎日を送っております。
発送のため自転車で郵便局へ行く途中に「桜並木」があるのですが、
この数日でずいぶんと開花してきたようです。
例年ですとこの時期は並木に沿って「○○町内会」「○○不動産」…などと
書かれたショッキングピンクの派手な「行燈(あんどん)」がブラブラと
吊り下げられているのですが、今年は「節電」と「自粛」のためかその姿を
現わしていません。
不謹慎かもしれませんが、このほうがシンプルに桜本来の色が映えて
良いのになぁ…と、自転車を止めてしばらく眺めてしまいました。
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私の好きな映画に「リバー・ランズ・スルーイット」という作品があります。
アメリカのモンタナ州を舞台に、フライフィッシングを軸にして2人の兄弟の
成長をつづった作品で、ストーリー的にはとても淡々としているのですが(笑)、
渓流などの風景がとにかく綺麗な作品でアカデミー賞では「撮影賞」を受賞し、
また、今をときめく「ブラッド・ピット」の出世作としても有名です。
その映画の冒頭のシーンなのですが、
2人の兄弟は学校へ通うかわりとして、毎日のように父親へ「手紙」を
書かされます。ようやく出来上がった手紙を父親に見せると、父親は必ず
「この内容のまま、さらに半分の文章にして描き直してきなさい」
と言って差し戻し、子供は父親がOKを出すまで何度も手紙を描き直します。
これによって子供たちは「本質」のみを文章で表現する術を身につけていく
のですが、このほんの数分のシーンが私はとても好きです。
桜並木の行燈もそうですが、当たり前と思っていた情景や出来事にも
じつは「過剰なもの」が結構まとわりついていて、それを手紙の文章の
ように剥がしてみると、本質の良さにはじめて気付かされる…ということが
結構多いのかもしれません。
*
「おもちゃの過剰と本質」がどのようなものなのか…私のような者が
そんな哲学的なことを考えて答えが出るわけがないのですが(笑)、
答えが出ないなりにも深く熟考しつつ「必要とされるモノ」を生みだす
ことが、これからの時代は必要なのかもしれません。
青空が映えると思います。
『ラトル工房ブータレブー』
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